ヴァイナスユーザー会 『VINAS Users Conference 2017』(以下、ユーザー会)を、東京コンファレンスセンター・品川において2017年10月12日(木)、13日(金)の2日間に渡って開催致しました。航空宇宙、重電重機、自動車、船舶、鉄道、建設・土木などの幅広い製造業界から、弊社製品のユーザー様ならびに弊社製品をご検討頂いている多数のお客様のご来場を賜り、成功裡 に終了致しました。本年のユーザー会では、メインテーマ『大規模高速計算・最適設計・ワークフローマネジメントのためのソリューション –オープンソースとクラウドコンピュータの設計利用-』のもとに専門セッションとワークショップを展開しました。

基調講演:AI創薬の現状と可能性

京都大学大学院医学研究科 教授 奥野恭史様より、「AI創薬の現状とその可能性」と題して、スパコンやAIなどの先端計算技術の創薬への適用に向けた可能性をテーマにご講演を頂きました。医療において薬を使ったデータや過去の実験の蓄積されたデータをAIに学習させ、AIによる新たな薬の設計を行うために設立したLINC(ライフインテリジェンスコンソーシアム)の活動や、現在どのようなAIの開発を進めているのか、画像処理をベースとした病理診断、1000億円10年と言われている開発コストの期間を削減・短縮するための「業界まるごとAI化」などの幅広いトピックスを紹介して頂きました。LINCで開発している29種類のAIのアウトプットをその次のAIへのインプットにして全てを自動で開発する日本発のAIを目指して、現在約80の企業・団体とともに開発を進めています。

特別講演:大規模乱流解析プログラムFFBの高速化とLattice Boltzmann法に基づく、直接乱流解析プログラムFFXの開発

東京大学生産技術研究所 教授 加藤千幸様から、「大規模乱流解析プログラムFFBの高速化とLattice Boltzmann法に基づく、直接乱流解析プログラムFFXの開発」と題して特別講演を頂きました。 スパコン性能の向上に伴い、数百億格子規模のLarge Eddy Simulation(LES)の工学的な応用が可能となり、風洞試験や水槽試験の代替えが現実味を帯びてきました。大規模解析の実用化を進めるために解決すべき課題と、FFBの高速化や機能強化、LBM法に基づく新たなコード(FFX)の開発計画と開発状況などをご説明いただきました。

メインセッション(10月12日)

海外から6名、国内から18名のゲストスピーカーを招聘し、国内外のユーザー様による事例や欧米の開発元による最新製品情報などを、次の3つの専門セッションで、ご発表頂きました。

     ・ ホール A : CFD(オープンソースソルバとプリ・ポストプロセシング)
     ・ ホール B : 最適設計・ワークフローマネジメント
     ・ ホール C : 分子科学・クラウドコンピューティング

CFDプリ・ポストとオープンソルバセッションでは、Pointwise開発元の米国Pointwise社からプリ・ポストにおける最新動向と製品開発の最新情報を、HELYX®の開発元の英国Engys社からHELYX® V3新機能と今後の機能開発計画についての発表がありました。また、建築分野におけるHELYX®の適用事例として、英国Foster+Partners社様から「CFDは建築設計手法をどのように変化させたか」と題した事例発表を頂きました。

最近特に注目されている最適設計分野では、JAXA様から「多目的設計探索ソフトウェアCHEETAH」、マツダ株式会社様から「多目的進化計算アルゴリズムCHEETAHを用いた複数車種同時最適化」と題したご講演を頂きました。

分子科学・クラウドコンピューティングセッションでは、先端医療振興財団様から「K4:スーパーコンピューターと連携したインシリコ創薬アプリケーション」、名古屋大学様から「データサイエンス支援サービスとAIを利用した自動チューニング研究」、立教大学様から「計算化学と機械学習の連携に関する取り組み」、理化学研究所様から「創薬を加速する分子動力学ソフトウェアGENESIS」などの専門講演を頂きました。

参加されたお客様のコメントのいくつかを以下にご紹介致します。

  • 基調講演の創薬分野の門外漢ですが、AI(Deep Learning)と解析の関わり方のヒントを頂きました。
  • ケーススタディーとして、そこから得られた知見・教訓など扱う失敗事例を取り上げてください。
  • Optimization関連に興味があり参加しました。国内外のケーススディーを今後も取り上げてください。
  • 最適化とワークフローのセミナーを開催してください。
  • 空力騒音(低減)の最適化の事例があれば教えて下さい。
  • シミュレーション技術と機械学習の融合、特に最適設計の膨大なデータに対する分析手法をテーマとしたセミナーの開催を希望します。
  • 最適設計のロジック提案をヴァイナスの技術者にして頂きたい。
  • OSS系ソフトのサポート事例、特に大規模問題に対する大型システム適用事例を取り上げてください。
  • 空力騒音(低減)の最適化の事例があれば教えて下さい。

ワークショップ(10月13日)

今年は、ユーザー会メインセッション開催後の10月13日(木)にPointwise、FieldView、HELYX®、iDIOS、TURBOdesign、OCC-Expert/Sculptor、DAKOTAを対象に8つのワークショップを、各製品の開発元から講師をを招聘して開催致しました。

ワークショップのアンケートで頂いたコメントのいくつかをご紹介致します。

  • iDIOSのワークショップに参加しましたが、インタラクティブに活発な意見交換ができて大変有意義でした。
  • OCC/Sculptorについて、非常に有用な情報が得られ、解説も分かりやすかったです。
  • 開発元と直接話せるこのような機会は非常に貴重であると感じました。
  • 今まであまりFieldViewのアドバンテージが理解できていなかったが、今回のワークショップでよく理解でしました。
  • Pointwiseのワークショップに参加しましたが、内容が濃く時間が足りませんでした。
  • HELYX®の2つのワークショップに参加しました。ハンズオンでもっと実際に使用したかったです。
  • ワークショップに参加した各社の質問・課題にアドバイスを頂き、とても参考になりました。皆さんの問題は案外似たものが多く、聞いていて納得することができました。
  • 年一回だけではなく、半年に1回このようなワークショップを開いていただけると良いと思います。
  • DAKOTAに必要なスクリプトなどを実際に見ることができて、大変参考になりました。

参加者のプロフィール

(1) 参加者の所属する業界は次の通りです。

参加者の所属する業界

(2) 参加者の担当業務は次の通りです。

参加者の担当業務

(3) 参加者の参加目的は次の通りです。

参加者の参加目的

最適設計への関心度

過去3年間における最適設計へ関心度は、次のグラフに見るとおり、年々着実に高まりを見せています。

過去3年間における最適設計へ関心度

【開催決定】  VINAS Users Conference 2018

2018年10月9日(火)・10月10日(水)・11日(木)

東京コンファレンスセンター・品川