AIを利用した次世代型最適設計システム OASIS AI 

OASIS AI事例

マニトバ水力発電 - 電力システム計画最適化

< 課題 >

MANITOBA HYDRO 社は高いレベルの顧客サービスと信頼性を提供するマニトバ州唯一の電力供給会社です。同社は省エネルギーを推進し、より効率的にエネルギーを供給するために、送電網の効率を向上させたいと考えていました。そのため、経験やデータから作成したルックアップテーブルを使用した従来の発電量の決定ではなく、リアルタイムに運転状況を把握し最大エネルギー移動量を決定できる新しい予測モデルの検討を行っていました。しかしながら、新しいモデルの作成には壁があり、最大転送能力を決定するための正式なアプローチを見出すことができていませんでした。

  モデル作成の壁
・ 考えられるすべての発電パターンを網羅することは不可能
・ 時間がかかる
・ ベースとなる電力システム (特に発電機の出力と電力の関係)についての理解不足
 

同社は電力系統に不安定さをもたらすことなく、十分な電力量を効率よく供給できるよう、個々の発電所の発電パターン(発電量)を決定する必要がありました。

< 解決策 >

送電能力の向上のために、発電機の出力を設計変数、最大電力の伝達能力を目的関数として、発電リソースの最適化を実施しました。 最適化計算には OASIS AI を適用し、発電パターンのシミュレーションには、電力系統シミュレーションツール PSS®E (Power System Simulator for Engineering) を使用し、輸出可能な最大エネルギーを計算する予測モデルを作成しました。

▲ 電力系統の単線モデル例

 

▲ 最適化フロー

< 結果 >

315回の最適化計算を実施し、50 台の発電機の出力と最大電力の伝達能力との関係を把握できる予測モデルを構築することができました。この予測モデルを使用して、指定された発電機の入力にもとづいた、送電能力を最大化するための発電計画を立てることができるようになりました。今回のプロセスを通じて、発電所は電力系統に関する貴重な知見を得るとともに、電力系統の計画と運用に有用なツールを手に入れることができました。