AIを利用した次世代型最適設計システム OASIS AI 

OASIS AI事例

Westland Helicopters 社 - エンジンエアインテーク形状の最適化

使用ソフト Ansys社:Ansys(Finite Element Analysis (FEA) & Computational Fluid Dynamics (CFD) 両方適用)

< 課題 >

Westland Helicopters 社は、ヘリコプターの設計・製造を行っている英国企業であり、性能を向上させるための研究開発に力を入れていました。航空機体の形状設計は空力性能の向上に極めて重要なポイントとなり、ヘリコプターの部品の形状設計においては、空気抵抗やコスト、製造性といった様々な要素を考慮したトレードオフ設計を行う必要があります。同社のヘリコプターは、遠隔地での捜索や救助、サルベージ作業に使用されることが多く、なかでも寒冷地での作業では、ヘリコプターのエンジンのエアインテーク(吸気口)付近に氷が堆積することで、エンジンが故障することで大事故につながることがあります。氷の堆積問題を解決しエンジンの故障を避けることが、寒冷地においてのヘリコプターの性能向上の課題となります。

▲ エンジン吸気における氷の付着

< 解決策 >

課題を解決するために、エンジンの排気熱を吸気スクープに伝えて加熱し、氷の堆積を防ぐという検討を行いました。また、スクープ形状に対してスクープが大きすぎると空気抵抗が大きく、熱がスクープの先端まで届きにくくなり、スクープが小さすぎると、必要な空気を十分にエンジンに送ることができなくなります。氷の堆積とエンジン性能の両方を設計目標としたスクープ形状の最適化を、 OASIS AI と Ansys ツールを連携し実施しました。スクープ形状を決定するパラメータ(5つ)を設計変数とし、スクープの放熱と先端の温度を制約条件として形状最適化をおこないました。

▲ スクープ形状

 

▲ 最適化フロー

< 結果 >

わずか37回の最適化計算により、氷が堆積することなくエンジン性能を7%向上させる最適な形状設計を求めることができました。この結果、より優れた防氷設計によって、寒冷地での安全性、耐久性が向上しました。

▲ スクープ内温度分布のコンター図

 

▲ 外部流れ場の速度ポテンシャルのコンター図