ターボ機械3D設計システム CFturbo
CFturboの主な設定機能
CFturboではターボ機械設計で検討すべき各項目の設定機能を有しており、各種モデルに基づく性能予測や子午面速度分布などを確認しながら形状の検討を進めることが可能です。
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CFturbo 2023.R2の機能
CFturbo 2023.R2で新しく追加された機能をご紹介致します。
ボリュートモジュールにおける抜き勾配設定機能を追加
ボリュート断面外周、ならびにダブルボリュートのスプリッターにおいて、抜き勾配(Draft Angle)角度を設定することが可能となりました。
図1では、断面の上面(最外周面)において抜き勾配を設定しています。画面における水平方向にたいして角度を有する設定を行うことで、この画面における水平方向の型抜きを考慮しています。
図2では、ダブルボリュートのスプリッター抜き勾配角度が2.0°と設定されています。スプリッターでは、オプションとして画面の上側(外周側)と下側(内周側)に、設定画面における水平方向に対する抜き勾配を設定することができます。
図1 ボリュート外周の抜き勾配設定
図2 ダブルボリュートのスプリッターにおける抜き勾配設定
ステーターにおける損失の設定として、全圧損失を設定可能に
ステーターにおける損失の設定仕様が変更となり、損失係数 ζ または、全圧損失 Δpt によって指定できるようになりました。圧縮性流体の場合は、等エントロピー速度比を代わりに使用することが可能となっています。図3に本バージョンの主要寸法設定画面における該当設定箇所を示します。
図3 主要寸法設定画面における損失評価方法の選択
ポンプモジュールにおいて密度可変の物性設定が可能に
従来はポンプモジュールなど液体を作動流体とする場合には、密度は圧力に依存せず一定として扱われ、液体水素の様な圧縮性の考慮が必要な物性の設定ができませんでした。本バージョンより液体の作動流体物性をCoolPropに基づいて指定することが可能となりました。図4ではグローバル設定画面においてCoolPropから物性モデルを選択されている状況を示しています。
図4 グローバル設定画面における物性設定でCoolPropを選択
段落全体をまとめて複製することが可能に
複数のコンポーネントを含むマスターコンポーネントをまとめて複製して、多段のターボ機械設定を大幅に効率化することが可能となりました。もちろんコピーされた段落における各コンポーネント間の接続設定の保持や、前段と後段の間のリンクの設定を行い、複製後に多段のターボ機械として設定・出力が可能です。図5でリターンチャネル付の遠心ポンプの段落をコピー・ペーストした状況を示しています。
図5 子午面ビュー画面において複数コンポーネントをコピー・ペースト
複数の定義画面におけるレイノルズ数の表示
各コンポーネントの出入口におけるレイノルズ数を表示できるようになりました。対象となる設定箇所は、主要寸法設定、ならびにミーンライン設計の各ステップにおける設定画面です。図6に設定画面を示しています。主要寸法における出入口径ならびに流路幅をそれぞれ参照長さとしたレイノルズ数の表示、ならびにミーンライン設計における各スパン断面での出入口速度に基づくレイノルズ数を表示しています。出展はCasey/Robinsonの著作に記載の理論に基づきます。
図6 主要寸法設定画面ならびにミーンライン設計画面におけるレイノルズ数の表示
ポンプモジュールにおいて前縁のストライク速度の評価機能を追加
本機能は、魚を吸い込んでもほとんどの個体を生存した状態で排出する「フィッシュ・フレンドリー・ポンプ」での適用を念頭に開発された機能です。前縁における打撃速度(Strike Velocity)を評価して設計に反映することができるようになりました。図7にミーンライン設計ステップでの設定状況を示しています。
図7 ミーンライン設計ステップにおけるStrike Velocityの評価画面
性能予測機能におけるポンプ効率曲線をHydraulic Institute基準に基づき更新
性能予測機能のうち、ポンプの水力効率特性曲線を、最新の基準である「Hydraulic Institute Program guideline for Rotodynamic Pump Efficiency Prediction」(HI 20.3-2020) に基づくデータに更新いたしました。図8では、性能予測機能において遠心ポンプインペラ―の効率曲線を表示している状況を示しています。
図8 性能予測画面における遠心ポンプインペラの効率曲線
ExportダイアログにHELYXなどの出力インターフェースを追加
CFturboは数多くのデータインターフェースを搭載しています。本バージョンでは、設計したターボ機械モデルを出力するExportダイアログにおいて、出力先のCFDソルバとして「HELYX」「scFLOW」を選択することが可能となりました。図9に出力インターフェースとしてHELYXを選択してモデル出力、図10にはscFLOWを選択してモデル出力したときの状況を示します。
図をご覧いただければお判りの通り、実際の出力データはネイティブのメッシュデータではなく、各ソルバで持つメッシュ作成のツールに受け渡し可能な形式で出力することが可能となっています。
図9 出力インターフェースとしてHELYXを選択してモデル出力
図10 出力インターフェースとしてscFLOWを選択してモデル出力
ExportダイアログにおいてSimScaleの自動実行機能を追加
出力先のCFDデータインターフェースとしてSimScaleを選択した時に、Export画面からSimScaleを実行する機能を追加しました。本機能は、SimScaleのAPI機能を使用しており、出力ファイルをSimScaleに転送し、SimScaleがブラウザで開かれてプロジェクトがロードされ計算を実行するプロセスを自動的に行うものです。図11でExport画面からSimScaleを実行した状況を示しています。
図11 CFturboのExport画面からSimScaleを実行した状況
Simmerics TurboPostの直接サポート
CFturboはSimmerics MPインターフェースに関してはネイティブ形式のメッシュを出力し、直ちに解析実行が可能であり高い親和性を有しています。本バージョンではポストプロセスにおいてSimmerics TurboPostを使用して表示するための事前設定を行うことが可能となりました。図12では設定されたデータに基づきSimmerics TurboPostで可視化表示している状況を示しています。
図12 CFturboで作成されたモデルのCFD解析結果のSimmerics TurboPostによる可視化画面