2015年度の弊社ユーザー会 『VINAS Users Conference 2015』(以下、ユーザー会)を、東京コンファレンスセンター・品川において2015年10月14日(水)、15日(木)の2日間に渡って開催致しました。航空宇宙、重電重機、自動車、船舶、鉄道、建設・土木などの幅広い製造業界から、弊社製品のユーザー様ならびに弊社製品をご検討頂いている多数のお客様のご来場を賜り、成功裡に終了致しました。本年のユーザー会では、メインテーマ『大規模・最適設計・ワークフローマネジメントのための総合ソリューション ~CFDオープンソルバの最前線とHPCクラウドの活用~』のもとに3つのテーマに関する専門セッションと6つのワークショップを展開しました。

オープニングセッション
~オープンソースとクラウドコンピュータを活用したCFD業務効率化~

オープニングセッションにおいて弊社代表取締役社長 藤川泰彦より、弊社が提唱している「オープンソースとクラウドコンピュータを活用したCFD業務効率化」をテーマにプレゼンテーションを行いました。CFD解析データが増大する中で、CFD設計業務における高精度・最適設計・大規模解析における課題を明確にした上で、商業ソルバとオープンソースのハイブリッド利用による業務効率化を提案致しました。弊社は、2008年からOpenFOAM® Workshopに参加し、オープンソースCFDをテーマにしたセミナーを開催しお客様のニーズを調査し、更にベンチマークテストを実施した結果、英国Engys社が開発したOpenFOAM®の強化版Helyxの国内販売サポートを本年8月から開始しました。本セッションでは、ヴァイナスによるHelyxの総合サポート、更にAWS、SoftLayerを利用したクラウド上での運用に関する弊社の取り組みに関する説明を致しました。

基調講演

国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球情報基盤センター長 高橋 桂子 様より「気象・気候予測のための複雑流体シミュレーションと4次元巨大データ解析」と題して超大規模シミュレーションをテーマに基調講演を頂きました。大気・海洋・個体地球分野のスーパーコンピュータである地球シミュレータは、地球温暖化などの気候変動研究に貢献し、2011年 東北地方太平洋沖地震における地震波の伝播シミュレーションを実施し、都市の領域気候モデルによる将来予測、都市型豪雨メカニズムの解明、温暖化による気候変動・季節の変化や異常気象の予測とその備えと対策に活用されています。更に、新地球シミュレータの特別推進課題“地球温暖化施策決定に資する気候再現・予測実験データベース”構築と日本の温暖化施策決定のための統一シナリオ策定における活用など、4次元データ解析の新しい潮流やシミュレーションの面白さと難しさをご紹介頂きました。

メインセッション

海外から8名、国内から17名のゲストスピーカーを招聘し、以下の3つの専門セッションで、国内外のユーザー様による事例や欧米の開発元による最新製品情報などをご発表頂きました。

・ Day 1 大ホール : CFDオープンソルバの最前線の適用
・ Day 2 ホール A : ターボ機械・最適設計・SDM(シミュレーションデータマネージメント)
             ホール B : HPCクラウドと計算高速化技術

オープンソルバのCFD業務における利用を主題に、三菱自動車工業株式会社様から「HELYXによる自動車空力騒音解析事例の紹介」のご発表を頂きました。更に、HELYXの開発元である英国Engys社から「HELYXによる実践的CFD解析」「HELYX拡張モジュールによる高度CFD解析」と題して、アジョイント最適化、多層流解析、船体抵抗予測、形状最適化に関するプレゼンテーションを頂きました。

弊社からは、CFDプリ・ポストプロセスの業務効率化、最適設計ワークフローの構築、ターボ機械最適設計コンサルティング、ハイブリッドクラウド利用支援システムCCNV V2やセキュアなオンラインストレージCC-Drive、高速計算コンサルティングなどの発表を行いました。
参加されたお客様のコメントのいくつかを以下にご紹介致します。

  • CFDオープンソルバの最前線の適用に参加しましたが、最新技術動向と適用事例を知ることができ、大変参考になりました。
  • 最新のプリ・ポストプロセッサの機能や、CFD解析における最適化の取り組みなどが参考になりました。
  • 現在、CFD業務において全面的に商業ソルバを利用していますが、オープンソルバの最新動向と導入状況を知る良い機会になりました。
  • ヴァイナスが取り扱っている製品以外の内容も盛り込まれており、大変参考になり満足しました。
  • 高橋先生の基調講演は日常業務で接している内容とは異なり、また視点も新鮮で大変興味深く聴講しました。
  • CFD/CAE業務におけるデータ管理に興味がありますが、導入にはまだ壁があるので、今後も引き続き参加して導入事例などの情報収集を積極的に行うつもりです。
  • ターボ機械・最適設計・SDMセッションに参加しましたが、講演を聴くだけではなく実際にフリー体験コーナーで製品を試用できたのが非常によかったと思います。
  • ヴァイナスによるクラウド利用に関するベンチマークをもとにしたソリューションの勉強会の開催を希望します。

ワークショップ

今年は、ユーザー会メインセッション開催後の10月16日(金)にFieldView、Pointwise、HELYX、OCC-Expert、TURBOdesign、エンジン設計ワークショップの6ワークショップを、各製品の開発元からプロダクトマネージャーやコンサルタントを招聘して開催致しました。
ワークショップのアンケートで頂いたコメントのいくつかをご紹介致します。

  • 今回はエンジン設計ワークショップに参加しましたが、今後も今回のようにテーマを決めて行うワークショップを希望します。
  • ターボ機械モデリングにおける業務改善のための技術を習得するために参加しました。
  • 説明が丁寧でわかりやすく、質問も最後まで受け付けていたので非常に参考になりました。
  • 操作方法や新機能の説明だけでなく、演習があり実際に操作を行えたので、大変参考になりました。
  • わからない時にすぐに対応してもらえたので、自分が抱いた疑問や問題点に対する回答をきちんと得ることができました。

来年の弊社ユーザー会「VINAS Users Conference 2016」は、2016年10月13日(木)、14日(金)の2日間 東京コンファレンスセンター・品川にて開催する予定です。国内外の適用事例、開発元ならびに弊社による最新製品情報をお届けします。

【開催予定】  VINAS Users Conference 2016

2016年10月13日(木)・14日(金)

東京コンファレンスセンター・品川 5F大ホール