次世代ワークフローツールWHEELの実証例題作成

本業務は、理化学研究所様の請負契約「平成29年度WHEELによる解析ワークフロー事例作成業務」に基づいて実施したものです。理化学研究所様が開発した次世代ワークフローツールWHEELを用いたキャパシティコンピューティングの例題として、WHEELのパラメータスタディ機能を利用し、分子科学計算ソフトウェアNTChem(*1)およびフラグメント分子軌道法ソフトウェアABINIT-MP(*2)のワークフローの作成、および京コンピュータのmicroキュー(30分以内の小規模ジョブ)を使っての動作検証を実施しました。

WHEELはGUI上で、図1の左ペインにあるような様々なコンポーネントを組み合わせて複雑なワークフローを作成し、実行できるツールです。コンポーネントの配置、ファイルの入出力関係、コンポーネント間の実行順序の指定などをマウスを使って簡単に実施することができます。大量のジョブをハンドリングできるように設計されており、様々な研究分野や産業界での解析や設計の自動化・省力化に活用されることが期待されています。

図1に本業務で作成したNTChemのワークフローを示します。本ワークフローは、古典分子動力学(*3)で求めた水分子のトラジェクトリから300点のサンプル点を選び出し、それぞれNTChemでエネルギー・グラジエント・物性値の計算を行って機械学習のための学習データを作成するものです。今後、より複雑な分子にも適用される予定です。

図1 本業務で作成したNTChemのワークフロー

▲ 図1 本業務で作成したNTChemのワークフロー

図2に本業務で作成したABINIT-MPのワークフローを示します。本ワークフローは、ニトロベンゼンとヘキサンの2量体を対象とし、300通りの配向に対してそれぞれABINIT-MPによるエネルギーおよびフラグメント間相互作用エネルギーの計算で得られる結果から、有効相互作用パラメータ(χパラメータ)を算定するものです。χパラメータを求めることで、メゾスコピックな粗視化シミュレーションを行うことが可能になります。

図2 本業務で作成したABINIT-MPのワークフロー

▲ 図2 本業務で作成したABINIT-MPのワークフロー

本業務で作成したワークフローは、ともに京コンピュータ上で正常に動作することを確認しており、WHEELを使ったキャパシティコンピューティングの入門的な事例として利用されることが期待されています。

(*1) http://www.r-ccs.riken.jp/software_center/jp/software/ntchem/
(*2) http://www.cenav.org/abinit-mp-open_ver-1-rev-10/
(*3) 古典分子動力学の計算にはTinkerを用いました。 https://dasher.wustl.edu/tinker/